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2006年05月30日

それは欠陥商品じゃないのか?

先日書いた話の続編です。

今日、義理の弟が子供を連れて遊びに来ていました。
そこで、お昼ご飯を一緒に食べつつ、先日の怪しいダウン製品の話をしていると・・・・・。

メーカーに問い合わせをしたらしいのですが、その返答がどうにも腑に落ちないんですね。
義理の弟は、衣類の構造とかに詳しいわけではないし、説明を受けたまま話をしてくれたわけなんですが・・・。

こんなような話だったらしいです。

ダウンが飛び出たと言う話をすると、まず鼻で笑われ、その次に、そういうものなんです、といいます。

通常ダウンは、風船のようなものにパックされているんですが、この商品はそういう事はせず、通気性を確保するために表をウールの生地で作っています。
通気性があることで保温性がまします。
ダウンが飛び出たとの事ですが、一年目は出ますが二年目から出なくなります。
もし二年目も出るようでしたら、商品に問題があるのかも・・・・。

おかしい。
この返答をした人は絶対おかしい。

この説明を聞いたとき、何も知らない人に説明をするからと、適当な事言ってるな?とすぐ思いました。

通気性を確保すると暖かい?
そんなダウン聞いたことがありません。

一年目にダウンは出るけど、二年目から出ない?
その根拠はどこから来るんだろう?
一年目ですべてできってしまうからだろ???

メーカー名はあえて伏せますが、どう考えても欠陥商品です。
場合によっては企画の段階からの欠陥とも取れるような発言ですね。

ダウンの説明はここでも何回かしています。
ダウンは他の物とはちょっと違う特徴がありまして、ダウンは針の穴くらいの小さな穴でも飛び出してしまうんです。
ですから、ダウン製品を作るときは、生地の裏っ側にラミネートをしてダウンが飛び出さないように加工をするのが普通です。
ダウン製品が破れた場合などは、針と糸は使わず、布を破れた箇所に接着剤などで貼り付けるのが一般的。

ウールの目の粗い生地なんか使えばそれだけでもダウンは飛び出します。

つぎに、ダウンは何故暖かいか?
これはダウンの含気率というものが関係してくるんです。
ダウンは、ふわっとした羽毛が空気をまとい、空気の層を作る事で保温性を出します。
ですから、ダウンは潰れていると保温力が減ってしまうんですね。
なるべく、厚いダウンの方が暖かいわけです。
ここに通気性を確保して何の得があるんでしょうか?
空気が入ると言う事は、空気が出るということ。
空気の層を作る時に支障が出るだけのような気がします。
最近流行りの薄手のコートなどは、以前のものに比べて暖かくなったような気がしませんか?
あれは、生地の裏側にシートを貼り付けて、風が入ってこなくするように加工をしてあるんです。
そうする事で保温力が増しています。

これを考えても、通気性を確保して保温力が上がる、ちょっと想像しにくいですね。

そして、二年目からダウンが出ないと言う発言。
百歩譲って、二年目から出ないとしましょう。
では、一年目に出たぶんは、減ってしまうわけです。
そんなので保温力はどうなってしまうんでしょうか?
中にダウンは残っているんでしょうか?

二年目から保温力が減ってしまうようなダウン製品、皆さんならどう思いますか?
きちんとした商品だと思いますか?
そういう商品だと思いますか?

どうしようもない、今までの概念では気付かないような問題なら、仕方が無いと思います。
今後、問題箇所を見つけ出し、どうすれば良い商品になるか?私たちも協力します。
しかし、今回の商品は、明らかに初歩的なミスです。
ダウンの特徴を理解していればこんな商品は作らないし、お客様へ売る事など出来ません。

衣類はクリーニングする事で再利用できます。
私たちも、皆さんの衣生活をサポートするべく、色々勉強もしますし技術も高めていきます。
しかし、大元の商品でこんなものを出された日には、私たちにはどうする事も出来ません。

アパレルさんが良い商品を出す、私達がなるべくその状態を維持したまま着られるようにクリーニングをする、
お互い切磋琢磨して、良い商品をお客様に提供していけたら、お客様が安心して着続けて貰えると思うんです。

適当な説明してはいけないよ。
きちんと対応するべきだと思う。
私たちクリーニング屋も頑張る。
だから、アパレルさんも頑張ろうよ。

投稿者 boribori : 2006年05月30日 23:51

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