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2007年04月21日

安く作る為には仕方が無いのかな?

ファーのコートが出た時の事です。
ここ数年ファーを使った品物が多いのですが、今までと傾向がちょっと変わってきています。

襟や袖にファーがついている商品は、大体取り外しが出来るようになっているのが普通です。
これは、クリーニングする時に別に洗う必要があるからなんですね。

ところが、最近のファー付きの衣類はそのまま縫い付けられているものがあるんです。

縫い付けられてしまうと、別に洗う事が出来ません・・・。

そもそも、毛皮と生地は洗い方が全然違いますし、洗う頻度も違います。
同じように扱ってしまうと、ダメになるのが毛皮の方でしょう。

ファー付きのコートのクリーニングをお客様に相談された時に、こういうことなんだな、と言う話がありました。

そのお客様は、とても衣類に詳しく、扱いに長けていらっしゃるんです。
もうプロと呼んでもおかしくないくらい博学で、私が普通に業界の中で話しているような話が出来てしまう、そんな凄い方なのです。
そんなお客様ですので、お持ちの衣類にまず間違いがあるなんて事はほとんどありません。
ひどいものは買わないし、しっかりしたものを買うことが出来る目をもっています。

ところが、ファーが縫い付けられたコートを持っていらっしゃったんです。
おかしいな?と思い、お話を聞いてみると、本人も納得が言っていない様子。

話す内容は私と同じで、ファーが縫い付けられているので、お手入れが出来ない、と嘆いておられました。

何でこの商品を買ったのか、お尋ねすると意外な答え。

友達が中国で衣類を作っているらしく、そのつながりでコートの購入をしたんだとか。
買う時にも、どこがダメか説明したそうなんですが、こう切り替えされたようです。

『ファーを取り外し出来るようにするとコストがかかる。見た目が高級品と同じようで、安く作らないと売れないんだ。だから縫い付けちゃうんだ。』

うーん、ある意味納得。
アパレルさんは販売してなんぼですからね。
売れる商品を作るのが一番の目的ですし、その為には多少の事は目をつぶるんでしょう。

また、裏を返せば、きちんとした商品が高額で売られているよりも、問題があっても安い商品の方が売れやすい、と言うことがあるのかもしれません。

どこに問題があるか?分からないと言う事もあるんでしょうね。

でも、衣類って言うのは継続性があるものですから、売りっ放し作りっぱなしではいけないと思うんですよね。
着て汚れたら、洗って、また着る。
これは衣類の正常なサイクルです。
この正常なサイクルを守る為に、一見無駄のような補強をしたり、色止めをしっかりしたりと言う事を本当はしているはずなんです。

ところが、そう出来ない事情もある。

難しい所です。
洗わないで捨てちゃう、と言う人も現実にいますしね。
そういう人には、どんどん買い換えられるような値段で売られているほうが嬉しいと思いますし。

あー、でもやっぱりここは譲れないなあ。
洗わなくても別に構いませんが、作る方はしっかりと作っていただきたい。
ファーなどは取り外しが出来るようにして欲しいし縮みにくい様にしっかり地のしはやって欲しい。
そうした良い商品を世に出して欲しいですね。

やっぱりね、日本の中では少なくとも良い商品と言うものは、長持ちするものだと思うんです。

その上で安く出来るのなら申し分ない。
きっとお客様もそこを望んでいると思います。

そこから先は技術とコストとせめぎあいになるんでしょうけどね。
私たちも同じですからよくわかるつもりです。
お互いに良い商品を提供していきたいものです。

投稿者 boribori : 2007年04月21日 23:07

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