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2008年10月21日

洗っても汚れが落ちないのは知っている。

夕方いらっしゃったお客様と会話していたときの事。

お預かりしたズボンの素材表示を見ながら、何気ない会話をしていたんですが、どうもこのお客様、違うんです。
何が違うって、一般の消費者じゃない。
まるでプロのクリーニング屋、もしくはアパレル関係者のような知識。

まず、言葉の使い方が違います。
専門用語がさりげなく出てくるし、その話の内容も理にかなっている。
妙に詳しいので、以前クリーニングのお仕事をされていたんですか?ときいてみました。
すると、クリーニング屋ではないけど、10年以上前に真似事をやっていた、と言うんです。

真似事???
難しいですね、クリーニング屋はやってないけど、それらしき事はやっている。
いったいなんでしょう?

そのまま話が続くのですが、クリーニングで汚れが落ちないのは知っている、とおっしゃいます。
落とすのがかなり難しいと。

うーん、やっぱり経験しているような口ぶりなんですよね。

ここでお客様、タネ明かし。

このお客様、貸衣装をやっていて、以前クリーニングの機械を導入し、自分で衣装をクリーニングしていたようなんです。
だから、クリーニングの溶剤にも詳しいし、素材にも詳しいんですね。
納得です。

それからは当時の苦労話を聞かせていただきました。
ウェディングドレスの貸衣装を洗おうと、ドライクリーニングの機械を導入した事。
工場見学をし、いざ自分たちで洗ってみるけど全然きれいにならないのに愕然とした事。
染み抜き剤などもいろいろと試してみるも、効果がなかったこと。
洗ったあとの仕上げが出来なかった事。

お話を聞いていて、そうだろうなあと納得。
クリーニングって本当に難しいんですよ。

たとえば、うちで使っている機械も溶剤も、洗剤も、もちろん選んではいますけど、他のクリーニング屋さんでも使っているところはあります。
でも、同じものを使っていても、結果は違うものになる。

異業種の人が手を出そうとすると、まずここで壁にぶつかるはずなんですね。

同じものを使っていてどうしてきれいにならないんだろうって。

これはもしかするとクリーニング屋さんでも分からない人はいるかもしれない。
その差と言うものは結構、地味で細かい事だと思うんですよね。
小さい事の積み重ねが結果としてきれいになっていくんです。

ノウハウ、と言うやつかもしれません。

結局、このお客様は、自前でクリーニングするのをやめてしまったようです。
結果が出ず、自己満足の仕事でしかないので、ダメだ、と言うことらしいですね。

洗うって、本当に難しい。
お客様は苦労されましたが、その大変さを知っている人と出会えて、ちょっと嬉しかったりします。
理解してもらっているって嬉しいものです。

投稿者 boribori : 2008年10月21日 23:34

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